磁気浮上技術
磁気浮上の原理
能動的な電気磁気浮上は強磁性物質で制御可能な電磁石の吸引力を基礎として実現されています。制御装置は電磁石の電流を制御して、磁力を強磁性物質に作用させることによって、強磁性物質を浮上させます。センサは連続的に強磁性物質を測定します。強磁性物質が理想的な位置より上にあるときは、コントローラは磁石へのの電流を減少させ、磁力もそれに従って低下します。強磁性物質が理想的な位置より下にあるときは、磁石への電流が増加します。
磁気ベアリング
単一の電磁石はロータの全方向の自由度を安定させることができません。反対方向で並ぶ2ヶの電磁石だけでロータを同じ方向に向かせることができます。こんな2対の電磁石は互いに対角線上に並んで、“ラジアルベアリング”を構成します。ボールベアリングと同じように、こんな配置は、ロータを平面上のある方向(x-y方向)に位置させることができます。ロータの傾斜を防止する必要もありますので、通常の場合、2ヶのラジアルベアリングを用いてロータを2点に固定しなければなりません。さらに、スラストベアリングとして、1対の電磁石が必要です。従って、完全に能動的な電磁ロータベアリングシステムは10ヶの電磁石が必要です。電子制御装置は、5ヶの独立のセンサのフィードバックによって、各電磁石への電流を制御します。
磁気ベアリングの利点
磁気ベアリングは、その特性により、機械ベアリングと異なっています。主な利点は、物理的接触がないことや、電子的にロータ位置をコントロールするなどが挙げられます。
利点のまとめ
- 潤滑をする必要がありません。
- 磨耗がありません。
- パーティクルの発生がありません。
- 洗浄・殺菌が簡単です。
- クリーンルームでの使用にとって、理想的なものです。
- 悪い環境(例えば、暑い、寒い、蒸気、真空および活性な化学品など)の中で運転することができます。
- ロータとステータはすぐれた断熱特性があります。
- 密閉できます。
- 振動や騒音が低い。
- 電子的にダンピングや剛性を制御します。
- 電子的にアンバランス補正が行われます。
- ロータは、エアギャップ内で電子的に精密に位置付けられます。
- 追加装置なしにベアリングの負荷、ロータの傾斜度およびアンバランスについて常に監視できます。
磁気ベアリングの応用
磁気ベアリングは、潤滑する必要がなくパーティクルを発生させない運転ができるので、クリーンルームでの使用に適しています。半導体産業では、磁気ベアリングはターボ分子ポンプ(TMP)、超清浄流体ポンプおよびウエハ回転システムに用いられます。高信頼性の磁気ベアリングは血液ポンプ、呼吸支援装置、生物反応器および分析計器などバイオ・医療製品にも使用されます。他の応用分野は、ターボ圧縮機、ガス循環ファン、高速切削装置、光スキャナおよび科学計器などがあります。